沖縄
沖縄と聞くと、赤瓦の屋根、アマハジ(土庇)の空間、等を思い浮かべるかもしれませんが、
赤瓦の屋根(おそらく中村家)
沖縄の木造住宅着工数は他県と比べて圧倒的に少ないです。
下のグラフは新築戸建住宅戸数に占める木造の割合です(2011年度)。
全国で見ると86.8%が木造です。
沖縄の次に少ない愛知でも78.1%は木造です。
一方、沖縄は13.9%(1978,79年は0.6%)。
こうなった理由は台風、白アリ、石造文化などと言われますが、
沖縄県でも、伝統的な住宅は木造です(つまり木造の家が元々建ってたわけです)。
着工数で木造が非木造に抜かれるのは1961年。
下のグラフは木造・非木造の住宅着工数の推移です。
「沖縄県地域木造住宅供給計画」より 平成8年 沖縄県
詳しい話は田上先生の本を参考にしてください。
『拡張する住宅』、田上健一、創英社、2004年
木造が減るとどうなるかと言うと、木造の大工がいなくなります。
また、沖縄県は戦後の乱伐などで住宅に使えるような木材はほとんど産出しません。
首里城復元のイヌマキも鹿児島などから持ってきたりしています。
そうした中で、1980年頃から2×4構法住宅が建てられるようになります。
2×4構法では、2インチ×4インチ(38×89㎜)の細い木を並べて板に打ち付け、壁や床を造ります。。
これだと大工がノミで接合部を削ったりする必要がありません。
また、木材も北米などから輸入できます。
それで沖縄県の新築木造住宅は半分以上2×4という時期がありました。
ようやく本題に入りますが、近年、大工が少なく木材も産出しない沖縄県で木造軸組構法住宅が増加しています。
下図の緑が軸組構法です。赤が2×4。
※建築統計年報 より
その理由は宮崎県、鹿児島県からのプレカット材です。
機械で接合部を加工するので、のみで継ぎ手・仕口を削るような大工技能は必要ありません。
木材も宮崎県や鹿児島県は一大林産地です。
といった変遷を調べつつ、2007,08年に沖縄県に調査に行き、
木造住宅を建てている工務店の特徴や、住宅の技術的な特徴を調べました。
論文は下のリンクからどうぞ。
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